

・ラズベリーパイって自分にも使いこなせるのかな?
・使い方がイメージできない
・実際の活用事例を見たい
こういった疑問に答えます。
累計販売数が4,000万台を超え世界的に人気のラズベリーパイですが、日本での認知度は低く一部の愛好家にしか広まっていません。教育や趣味だけでなく、ビジネスでも活用できるラズパイの魅力を知らないのはもったいないです。
この記事では、数あるラズベリーパイでできることの中から次の5つに絞って解説します。
この記事を最後まで読むと、ラズベリーパイの活用アイディアがイメージできるはずです。
この記事の結論
ラズベリーパイを使えば、玄関ドアのカギを遠隔から操作するようなIoTデバイスが自由に作れます。僕はラズベリーパイを始めて生活満足度が確実に上がりました。
ラズベリーパイの基礎知識

ラズベリーパイは、スマートフォンなどと同じ種類のCPUが載った小型のシングルボードコンピューターです。シングルボードコンピューターは、コンピュータを構成する部品を1枚の基板(ボード)に集約した製品のことです。

ラズパイにディスプレイやキーボードを接続すると、一般的なパソコンのような使い方ができます。
ラズベリーパイ5つの特徴
ラズベリーパイと一般的なパソコンの違いについて解説します。
1.小型、軽量である

代表的なモデルであるRaspberry Pi 4の大きさはクレジットカードと同等の56mm×85mmです。重さはわずか47g。この小ささを生かして場所を問わずに稼働させることができます。以下の写真のように、壁に貼り付けて使用することも可能です。

あらかじめラズベリーパイで電子パーツを動かすプログラムを組んでおくと、電源が入ったときに自動でプログラムを実行する設定ができたり、Wi-Fi経由の操作でプログラムを実行できたりします。
2.高性能なのに低価格
ラズベリーパイは英国のラズベリーパイ財団により教育目的で開発されました。「子ども達に思う存分プログラミングを楽しんでほしい」という願いで作られているため、高性能・低価格が実現しています。
主なモデルの性能と価格を以下の表にまとめました。
基板むき出しのモデルだけでなく、Raspberry Pi 400というキーボードとラズパイが合体したモデルもあります。
最も高性能なモデルRaspberry Pi 4 Model B(2019年6月発売)

Raspberry Pi 4のCPUは動作周波数1.5GHzと、モバイルPC顔負けのスペックです。メモリは2GB、4GB、8GBの中から選択可能で、2GBモデルなら6千円台で購入できます。本体にはカメラコネクタやGPIOピン(汎用入出力端子)などさまざまなインターフェースが装備されています。ここに外部機器を接続して機能を拡張することが可能です。

センサーやモーター、カメラなどラズパイに接続することのできるパーツは多数販売されています。
3.ラズベリーパイのシンボル「GPIOピン」
ラズベリーパイの最も特徴的な部分であるGPIOピンについて解説します。

GPIOは「General Purpose Input/Output」の略で「信号の入力」と「信号の出力」が可能です。ここにLEDやセンサー、スイッチ等の電子パーツを接続すると、プログラミングで制御できるようになります。
チェックポイント
一般的には40本のピンをまとめてGPIOピンと呼ぶことが多いですが、正確には汎用入出力端子といいます。GPIOは汎用入出力端子の一種です。汎用入出力端子の種類はGPIOのほかに電源があります。
各ピンの種類は、以下の通りです。

GPIOピンとパーツの接続には次の写真のようにジャンパワイヤと呼ばれる線を使います。

上記の写真ではラズベリーパイにモーターを接続しています。
ラズベリーパイを使っているとGPIOピンの配置が分からなくなることがあります。本体には何も表示されていないからです。GPIOピン配置を確認する方法は以下の記事で解説しています。
≫【最速】ラズベリーパイ(Raspberry Pi)でGPIOピンの配置を簡単に確認する方法
4.OSを自分でインストールする
ラズベリーパイにはOSが入っていません。自分でmicroSDカードにOSをインストールします。OSはラズベリーパイ公式ページから無料でダウンロード可能です。

OSのインストールや初期設定の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
≫ラズパイの始め方、OSのインストールから初期設定まで

ラズベリーパイで使うOSは複数から選択可能ですが、Windowsを使うことはできません。LinuxベースのRaspberry Pi OSを使うのが一般的です。LinuxはオープンソースのOSです。Raspberry Pi OSにはExcelのようなオフィスアプリやブラウザが入っていて、Windowsに近い感覚で操作できます。日本語表示にも対応していますので直感的な操作が可能です。
5.自分専用のIoTデバイスを作れる
IoTは「Internet of Things」の略で、インターネットに繋がったモノを、自分のアイディアで作り出すことができます。具体的にはIoTを活用することで「遠くで起きていることを知ること」や「遠くのモノを操作すること」が可能になります。
例えば、人感センサーが反応したときにLINE通知を送るシステムを作って家に設置しておけば、外出先から家の状態を知ることができます。

このようにパーツやテクニックをパズルのように組み合わせていくことで、自由にシステムを作ることが可能です。

ラズベリーパイの基礎知識を動画で学びたい方は、ITエンジニアもりしーさんの動画がおすすめです。
ラズベリーパイでできること【活用事例】
Twitterで「ラズパイを何に使っているのか」というアンケートを取ってみました。
電子工作と回答した方が58.2%で1位でした。そこで、この記事では電子工作関連の活用事例をメインに紹介します。
1.プログラミング学習
ラズベリーパイはプログラミング学習に最適です。人気のプログラミング言語Pythonが初めからインストールされているからです。ラズパイなら初心者にとってハードルが高い環境構築(PCをプロプラミングができる状態にすること)が不要です。

Pythonは人工知能やデータ分析をはじめとした様々な分野で使われている人気のプログラミング言語です。
ラズベリーパイにはあらかじめThonnyという開発環境(エディター)が用意されています。ここにPythonプログラムを書いて実行します。

Thonnyはシンプルな画面構成で初心者にも使いやすいエディターです。
ラズベリーパイでPyhtonプログラミングを始める方法について以下の記事で詳しく解説しています。
≫【ラズベリーパイ入門】Pythonプログラミングの始め方
2.スイッチ操作によりプログラムを起動する
GPIOピンにスイッチを接続すると、スイッチの状態をラズパイから読み取ることができます。

スイッチを利用すると、ディスプレイやキーボードを接続しなくてもスイッチ操作だけで、あらかじめ組んでおいたプログラムを実行することができます。
以下のツイートの事例では、スイッチが押されたときに定型文のLINEを飛ばすというプログラムを走らせています。
スイッチ化することで、子供でも簡単にプログラムを実行できるというメリットがあります。
スイッチ操作によりプログラムを実行する方法について以下の記事で詳しく解説しています。
≫【ラズベリーパイ入門】ボタン(タクトスイッチ)でプログラムを実行する方法
電子パーツをラズベリーパイに接続して制御することを電子工作と呼びます。「電気のことはよくわからない」と思う方も多いかもしれませんが、初めてみるとすぐに慣れます。

僕も全くの未経験でしたが、実際に手を動かしながら学びました。
最初はLEDを光らせるなど簡単な工作から始めるのが一般的です。たとえ単純な動作であっても、思い通りに動かせた時の達成感はやみつきになることでしょう。

上記ような電子パーツを組み合わせて、回路を作っていきます。ブレッドボードを使うと、ジャンパワイヤーの両端の「ピン」を、ブレッドボートの穴に差すだけで部品間を電気的に接続することができます。接続を間違えたとしても、何度でもやり直しができるので、初心者でも安心して工作を楽しむことができます。

3.センサー活用
センサーを接続して数値をモニタリングしたり、数値の高低を判断してプログラムを実行することもできます。

今回は、超音波距離センサーについて解説します。

超音波距離センサーは、超音波が反射する時間を利用して非接触で距離を測定することができるセンサーで、物体~センサーまでの距離を測定することができます。
写真に写っているセンサー「HC-SR04」の測定範囲は2~400cmです。
超音波距離センサーの使い方について詳細のは以下の記事で解説しています。
≫【電子工作入門】ラズベリーパイで超音波距離計を作る
こちらのツイートでは「有機ELディスプレイ」に測定結果を表示させています。
4.サーボモーターを制御する
サーボモーターは所定の角度まで回転できるモーターです。角度はプログラミングにより指定します。

1個360円です。
ラズベリーパイのGPIOピンに接続後、プログラムを実行してモーターを動かします。
サーボモーターの活用事例
サーボモーターは両面テープで取り付けています。
アイディア次第で色々使えそうですね。スマートロックも作れます。
灰色のパーツは3Dプリンターで作成しました。
サーボモーターと距離センサーを組み合わせて、子供が喜びそうなおもちゃを作ってみました。
距離センサーの値が閾値より小さくなったらサーボモーターを動かすというプログラムを組んでいます。
マイクを追加して音声で操作
音声認識でサーボモーターを動かすこともできます。
音声を入力するためのマイクは下記のものを使用しています。小型で場所を取らないので使いやすいです。
5.カメラの活用
ラズベリーパイ公式のカメラ、または一般的なUSBのカメラを接続することができます。

ラズベリーパイでカメラを使う方法について以下の記事で詳しく解説しています。
≫【ラズベリーパイ入門】監視カメラの作り方|Python使用
監視カメラのような使い方もできますし、画像認識プログラムを組むこともできます。
リアルタイムでの顔認識です。カメラに映った人物名を表示させています。顔写真のデータを、あらかじめ20枚程度学習させています。顔認識の方法は以下の動画を参考にさせてもらいました。
OpenCVというライブラリーを使うと画像認識システムを手軽に実装できます。
アナログメータの針を検出して角度を算出、角度から読み値に変換した数値を画像中に表示しています。
カメラと電子工作を組み合わせると活用の幅が広がる
カメラと電子工作を組み合わせると、より高度なシステムが作れます。例えば、センサーが反応したときにカメラを撮影するというプログラムを組めば、監視カメラとして活用できます。
人感センサーが反応したとき、カメラ画像をLINE通知する方法について以下の記事で詳しく解説しています。
≫【ラズベリーパイ入門】監視カメラの作り方|Python使用
カメラでQRコードも読み取れる
カメラを使ってQRコードを読み取ることもできます。QRコードにはテキストデータを入れることができるので、特定のデータだったらモーターを動かすなど、プログラムを自由に組めます。
ラズベリーパイの学習方法
この他にもラズベリーパイでできることは、紹介しきれないくらいあります。もっと作例が知りたいという方はRaspberryPi -Qiitaをご覧ください。
ラズベリーパイを始めてみたいけど、どうやって使い方を学んだらいいのかわからないという方のために学習方法を紹介します。
ラズベリーパイをYouTubeで学ぶ
完全初心者がラズパイがどんなものかを理解するにはYouTubeが最適だと思います。なぜなら音声と映像によりできることをイメージしやすいからです。良質な動画が無料で見られるのはありがたいですね。
ラズベリーパイをYouTube動画で学びたい方はITエンジニアもりしーの動画がおすすめです。
ブログでラズベリーパイを学ぶ
ラズベリーパイの情報をブログで調べるという学習方法もあります。

基本はGoogle検索などで「ラズベリーパイ」スペースやりたいことで検索して自分の知りたい情報を探します。
メリットは無料であることと、公開しているプログラムをすぐにコピーアンドペーストできることです。デメリットは情報が不足している場合が多いことです。なぜなら個人が趣味の範囲で発信しているケースが多いためです。
ラズベリーパイを本で学ぶ
本は有料ですが情報の量が多くて信頼性も高いというメリットがあります。本の中で出てくるプログラムは出版社のサイトからダウンロード可能というものが多いです。
ラズベリーパイを学ぶのにおすすめの本を以下の記事で詳しく解説しています。どの本を選んだらいいかわからない方は参考にしてください。
≫【2022年版】ラズベリーパイおすすめの本
最後までご覧いただきありがとうございます!
ラズベリーパイは、本体、周辺機器、電子部品を揃えると1万円くらいの初期投資が必要となります。しかし、趣味にも仕事にも大活躍する素晴らしいアイテムです。少しでも興味を持っていただけた方はぜひ一緒にラズパイを楽しみましょう。