
ラズベリーパイのフラッグシップモデルともいえるRaspberry Pi 4。前モデルのPi3から大幅な進化を遂げ、その実力はモバイルPC並みです。

ラズパイZero,3,4,400,Picoを使ってきた経験をもとに、Raspberry Pi 4の特徴を解説します。
僕が実際にRaspberry Pi 4を使って感じたことを以下にまとめました。
満足度 | (5 / 5.0) |
小ささ・軽さ | (3 / 5.0) |
低消費電力 | (4 / 5.0) |
コスパ | (3 / 5.0) |
拡張性 | (5 / 5.0) |
電子工作向き | (4 / 5.0) |
Raspberry Pi 4のメリット
- 進化したCPUでハイパワーかつ高速
- USBやBluetooth、イーサネット(有線LAN)が高速通信に対応
- メモリ容量を2GB、4GB、8GBの中から選べる
- 4Kデュアルディスプレイ対応
- 人気ナンバーワン
Raspberry Pi 4のデメリット
- 本体が熱くなる
- 価格が高い
- 歴代モデルよりハイスペックとはいえPCとしては非力
この記事の結論
Raspberry Pi 4は高性能ゆえに温度が上がりやすい特徴があります。しかし、よほど高負荷な使い方をしない限り、勝手に止まることはありません。2022年現在、初心者が選ぶべきモデルとしてはRaspberry Pi 4が最適と考えます。
進化したRaspberry Pi 4

Raspberry Pi 4のスペックは以下の通りです。
SoC | Broadcom BCM2711 |
CPU | Cortex-A72 (ARM v8) 64-bit SoC @ 1.5GHz × 4 |
メモリー | 2GB、4GB、8GB |
有線LAN | 1000 Base-T |
無線LAN | IEEE 802.11b/g/n/ac |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 |
Raspberry Pi 4は何がスゴイのか?ラズパイの歴史から解説します。
ラズベリーパイの進化は止まらない
ラズベリーパイは2013年の発売以来、さまざまなモデルが開発されてきました。当初の教育目的にとどまらず、DIYから産業用まで幅広いユーザーから人気を集めています。
ラズベリーパイが何かよく分からない方は以下の記事をご覧ください。
≪ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは?ラズパイで何ができる?

PCの性能は日々進化しています。ラズパイも例外ではなく、より高いスペックのマシンが求められるようになりました。そんな中、新しいモデルは毎年発表されていて、そのたびにCPUの処理能力(クロック周波数)は高くなっています。
ラズベリーパイの種類「Model B」は最強
ラズベリーパイは基板サイズにより分類できます。クレジットカードサイズのModel B、少し小さくて正方形に近い形のModel A、さらに小さいフリスクサイズのZeroの3種類です。

基板が大きくなるほど、実装できる部品数も多くなります。
つまり「Model B」が最上位シリーズです。その「Model B」シリーズの中で最新かつ最高スペックのモデルが「Raspberry Pi 4 Model B」になります。
モデル種類 | ![]() Zero | ![]() Model A | ![]() Model B |
---|---|---|---|
商品名 | Pi Zero Pi Zero W Pi Zero WH | Pi Model A+ Pi 3 Model A Pi 3 Model A+ | Pi 2 Model B Pi 3 Model B Pi 3 Model B+ Pi 4 Model B |
USBポート | 1つ | 1つ | 4つ |
LANポート | なし | なし | あり |
ステレオミニジャック | なし | あり | あり |
Model BはLANポートが付いていて、USBポートも4つ付いているので使い勝手が良く拡張性が高いという特徴があります。3種類の中では最もサイズが大きいですが、それでも手のひらに収まるほどコンパクトです。

Raspberry Pi 3とは別次元の速さでストレスフリー
Raspberry Pi 4のスペックはどれほどか?1世代前のRaspberry Pi 3と比較してみましょう。
商品名 | ![]() Raspberry Pi 3 Model B+ | ![]() Raspberry Pi 4 Model B |
---|---|---|
CPU | 1.4GHz | 1.5GHz |
メモリ | 1GB | 2GB/4GB/8GB |
HDMI出力 | 1つ | 2つ |
4K対応 | 非対応 | 対応 |
USB | USB 2.0×4 | USB 3.0×2 USB 2.0×2 |
参考価格 | 5,775円 | 2GB:6,413円 4GB:7,700円 8GB:10,340円 |
CPU・メモリ共にRaspberry Pi 4の方がハイスペックであり、快適な動作が実現しています。さらに、高負荷時のCPUクロック周波数が2021年に1.5GHzから1.8GHzになりました。外観上の見分け方は以下の写真を参考にしてください。
チェックポイント
実際に使ってみると、起動の速さやアプリの立ち上がりの速さを実感します。サクサク動くのでストレスが無く快適です。
メモリは3種類から選択可能
Raspberry Pi 4は2GB、4GB、8GBの中から選択することができます。
メモリは数値が大きくなるほど一度に多くの処理ができます。ちなみに僕が使っているWindowsのノートパソコン(7万円位)のメモリは8GBです。
Raspberry Pi 4は4Kマルチモニター対応

Raspberry Pi 4のHDMI出力は2つ用意されているため、2画面にすることができます。しかも4K対応です。端子の種類はMicro HDMIなのでお間違えなく。

進化ポイントは盛りだくさん
Raspberry Pi 4の進化ポイントを挙げていくと、USBポートが2か所USB3.0になっています。従来の規格である「USB2.0」と比較してデータの転送速度が高速になっています。

外付けのSSDを繋ぐときに効果を発揮します。
コネクターの中が青く塗られている方がUSB3.0です。

さらに、Bluetoothの規格は5.0に対応しています。イーサネット(有線LAN)も、3より大幅にスピードアップされています。
とはいえPCとして使うには非力
Raspberry Pi 4は史上最高スペックであると解説してきましたが、一般的なPCと比べるとスペックは低いです。

インターネットを見るときはページ読み込みの遅さを感じることも。
一般的なPCと同じような使い方をすると不便に感じることが多く、個人的にはプログラミングや電子工作で遊ぶという目的で使用しています。
以下の動画を見ていただくと、Raspberry Pi 4をよりイメージしやすくなるはずです。
Raspberry Pi 4は人気ナンバーワン
2022年2月にTwitterで実施したアンケート結果は以下の通りです。
Raspberry Pi 4 がダントツで1位という結果でした。Raspberry Pi 4 は多くのユーザーから高い評価を受けています。
Raspberry Pi 4を使ってみる
それでは実際にRaspberry Pi 4を使っていきましょう。

Raspberry Pi 4に必要な周辺機器
Raspberry Piの箱には本体しか入っていないため、使用するには周辺機器を自分で用意する必要があります。ラズパイを起動するのに最低限必要なものを下記にまとめました。
- パソコン(カードリーダーが必要)
- HDMI対応ディスプレイ(テレビでも可)
- microSDカード(8GB以上 CLASS10)
- ACアダプター(Type-C 3.0A)
- USBマウス
- USBキーボード
- HDMIケーブル(micro HDMI)


ACアダプターの選び方
Raspberry Pi 4 を動かすのに必要な電源は5V、3Aです。一般的なアダプターではパワー不足になります。

電流が足りないと、警告が出たり予期せぬシャットダウンが起こることも。
スマホの充電用など、すでに持っているアダプターを使う場合は一度電流を確認しておきましょう。コネクターの種類はType-Cです。

僕がRaspberry Pi 4で使っているのは秋月電子製のACアダプター。900円とコスパも良いのでおすすめです。
HDMIケーブルは種類に注意
ディスプレイの接続にはHDMIケーブルを使用します。Raspberry Pi 4に接続する側のコネクターの種類はmicroHDMIです。
ケースはあったほうがベター
ラズパイ本体を入れるケースは無くても使用はできますが、僕は買った方が良いと思います。破損防止やホコリの付着防止になるからです。ラズパイ用のケースは様々なタイプが発売されています。

ケース選びもラズパイの楽しみ方の一つです。
デザインや使いさすさ、放熱性などで選ぶと良いでしょう。モデルによってサイズやインターフェースの形状が違います。例えば、ラズパイ3とラズパイ4の外形サイズは同じですがコネクタのサイズや配置が違うのでケースの共用はできません。ラズパイ4 専用のケースを選びましょう。

初心者はラズパイ本体と周辺機器をセットで買うのがおすすめ
ラズパイを購入したらすぐに使いたいと思うはずです。しかし機器の選定を間違えると買い直しに時間がかかり、お金も無駄になります。

僕もUSB端子の種類を間違えてショックを受けた経験があります。
実はラズパイを周辺機器とセットで購入する方法があります。必要な周辺機器をショップが選定していますので間違えるリスクがなく、機器を選ぶ手間もありません。
以下のようなキットを買えばラズパイをスムーズに始められます。
初期設定手順
周辺機器が準備できたら、初期設定を行います。手順を以下にまとめました。

OSのインストール
買ったばかりのラズベリーパイにはOSが入っていません。自分でOSをインストールする必要があります。まずmicroSDにOSをダウンロードしてからそれをラズベリーパイにセットして起動します。

OSはラズベリーパイ公式のダウンロードページより無料でダウンロードできます。

OSのインストールや初期設定の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)の開始手順を解説!OSのインストールから初期設定まで
microSDカードのセット
OSがインストールできたら、SDカードを本体にセットします。

ケーブルの接続・起動
キーボード、マウスとディスプレイを接続して、最後にACアダプターを接続します。



ラズベリーパイは電源スイッチが無いので、電源を接続するとすぐに起動します。

最初の起動は時間がかかるので、少し待ちます。
初期設定
画面の表示に従って、初期設定をしていきます。

初期設定の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)の開始手順を解説!OSのインストールから初期設定まで
Raspberry Pi 4のデメリットは価格と熱
Raspberry Pi 4のデメリットについて解説します。
高性能だけど1万円は高い
ラズベリーパイで1万円は高いという声をよく聞きます。ラズベリーパイの魅力は高性能・低価格だったからです。Raspberry Pi 4の発売前は5,000円以下のラインアップが主流でした。教育目的で開発されていることもあり、利益を度外視した価格設定となっています。

一般的なPCと同じく、ラズパイの性能も日進月歩で進化しています。性能と価格がトレードオフになるのは当然です。また最近は半導体不足による品薄が原因で価格が上がっているという側面もあります。
以上のことを考慮しても、性能重視のモデルが欲しいという方は4の8GBを選ぶべきです。逆に1万円が高いと感じる方は2GBモデルか「Raspberry Pi 3 Moddel B」を選ぶと良いでしょう。
Raspberry Pi 4は発熱する
Raspberry Pi 4は高性能ゆえにCPU温度が上がりやすくなっています。Raspberry Pi 4の熱問題は有名で、Twitterでもたびたび話題に上がっています。
一般的なパソコンは冷却ファンが標準装備されていて、CPUの温度上昇を抑えます。温度が高くなりすぎるとCPUがエラーを起こしてパソコンが停止するからです。
しかし、ラズパイはファンが付いていないため、CPUを冷却する機能がありません。Raspberry Pi 4はCPU温度が80℃を超えると、クロック周波数を自動で下げます。CPUを保護するためです。つまり、温度が上がりすぎると本来の性能が発揮できなくなります。

Raspberry Pi 4の熱問題と真剣に向き合う
Raspberry Pi 4の発熱を気にせず、ガンガン使いたい方のために熱問題について検証しました。
各モデルのCPU温度を比較
Raspberry Pi 4は本当に熱いのか?実際何度まで上がるのか?この疑問を解消するため、テストをします。CPU温度を測定するためにPythonのプログラムを作成しました。内容は以下の通りです。
- CPU温度を取得する
- CPU温度をグラフ化
- ①、②の処理を1000回繰り返す
同じプログラムを手持ちのラズパイで走らせて、プログラム終了時点でのCPU温度を比較します。
「Raspberry Pi 4 Model B 4GB」のテスト
結果は56.4℃

「Raspberry Pi 3 Model B」のテスト
結果は54.2℃。4より2℃低い結果。思ったより変わらない印象です。

「Raspberry Pi Zero」のテスト
結果は41.7℃。CPU使用率は100%。1000回測定するのに50分もかかりました。

「Raspberry Pi 400」のテスト
結果は36.0℃。Raspberry Pi 400の内部に設置された大型ヒートシンクの効果が出ています。

【テスト結果まとめ】Raspberry Pi 4は最も温度が高い
テスト結果は、やはり1位がRaspberry Pi 4で56.4℃でした。テストをしたのは1月。空調の効いた部屋で室温は23℃。これが夏場の30℃以上の条件ならば、それなりの温度になりそうですね。とはいえ、Pi3との温度差は2℃。少し意外な結果になりました。

Raspberry Pi 4の熱対策を考える
ラズパイの一般的な熱対策といえば、ヒートシンクかファンです。それぞれの効果を検証してみます。
ヒートシンクの効果は1.9℃
ヒートシンクはアルミで作られており、CPUに直接貼り付けることで熱を逃がします。数百円で入手できるのが魅力です。
早速効果を検証してみます。結果は54.5℃。ヒートシンクなしと比較して1.9℃下がりました。効果は気休め程度で無いよりはマシという感じです。

ヒートシンク型のケースは冷却効果あり
ケースが丸ごとヒートシンクの役割を果たしている以下の製品で温度検証してみました。結果は47.2℃。対策なしと比較すると約9℃下がりました。ファンなしでこの冷却効果の高さはお見事です。

タワー型CPUクーラーは見た目も効果も最強!
見た目のインパクトに惹かれて購入した「タワー型CPUクーラー」。実際の効果が気になるところ。
テスト結果は31.6℃。対策なしとの差は25℃という凄まじい結果に。ガンガン冷やしたい方におすすめです。

Raspberry Pi 4で何ができる?おすすめの楽しみ方

僕がRaspberry Pi 4でどんなことをしているのかを紹介します。
LEDを点滅させたりするのも楽しいですが、せっかくハイスペックなのでカメラモジュールを使った遊びがおすすめです。

監視カメラ
Raspberry Pi 4はWi-Fiが使えるので、ラズパイにつないだカメラ映像を別のPCやスマホから見ることができます。

ラズベリーパイでカメラ映像を表示する方法は以下の記事で詳しく解説しています。
≪ ラズベリーパイで監視カメラ!映像を表示する方法
カメラを使った電子工作
下のツイートはカメラと電子工作を組み合わせた実例です。
上のツイートでやっていることは以下の通りです。プログラミング言語はPythonを使っています。
- ミニカーに付いているQRコードをカメラで読み取る
- QRコードのデータが一致したらサーボモーターを動かしてゲートを開く
QRコードは以下のサイトで作成してプリントしています。
≫ QRのススメ【無料】
QRコードの読み取りはOpenCVというモジュールを使うと簡単です。
参考にしたサイト ≫ PythonでOpenCVを使用しWebカメラQRコードスキャナーを作成する
音声でラズパイを操作
USB接続のマイクを使って音声認識をすることも可能です。下のツイートの事例では特定の音声を認識したときにサーボモーターを動かすプログラムを組んでいます。青色のパーツは3Dプリンターで作成しました。
スピーカーを接続すれば、スマートスピーカーも作れます。
Raspberry Pi 4の口コミ
- HYさん(56歳|男性)
- 利用マシンのメモリタイプは4GBです。初代より利用させてもらっています。良かった点はraspberry-pi-4になりcpuが64bitとなり処理能力が格段に向上しました。rasbian上で複数のアプリケーションを並行実行させていても事前よりもたつき無く動作します。悪かった点はcpuの発する熱量が以前より多くなっている点です。利用シーンですがAlexaと連動させ音声switchのコントローラーとして使っています
- パンダマンさん(46歳|男性)
- OSは32bitにてセンサーとリレー接点基板を付けての利用です。技適を取る前の最初期のものを使いました。入手性は悪かったです。GPIOの分岐コネクタの半田が悪くて短絡しており起動しなくて最初焦りました。短絡部の修正で無事起動しました。体感で3、ZEROより処理が早くなっている気はしました。pythonで50行程度の簡単なプログラムでしたが数百時間安定して連続動作してました。
- yasさん(50代|男性)
- 4Gモデルを使用しています。追加機器なしで有線LANもWiFiも利用できUSB端子も4つあるので、ちょっとしたブラウザPCとしても利用可能です。ACアダプタはきちんとしたものを利用しないと動作が不安定になるので注意が必要です。IOT機器としても使えますし、本格的なLinuxマシンとしても使えますので、Linuxの学習にもぴったりです。
- y0d5r0k9さん(20代|女性)
- RaspberryPi4の4GBを利用して、機器の種類を問わず接続がしやすくて、複数のモニターを同時に使っていても途中で接続が途切れることがなかったのが良かったです。他の社員たちとの打ち合わせのためのモニターと、書類の誤字脱字がないかを確認するためのモニターを並行して使うことがあったのですが、使用前は2つを並行して使っていると書類のチェックを確認するモニターの電源が切れてしまうことがありました。しかし、使用後は5分ほどで設定できて接続が途切れることなく使えて、画面の明るさも保たれたのでありがたかったです。
長期間使ってわかったこと
本体温度が上がるという情報をたびたび耳にしていたのですが、僕は熱対策せずに夏を越せました。エアコンのない部屋で常時稼働させていましたが、特に不具合は無かったです。

使い方にもよりますが、全ての人がファンを付けるべきだとは思いません。まずはファンを買わずに様子を見るのが良いと思います。
まとめ
Raspberry Pi 4について解説してきましたが、2022年現在ほとんどのモデルが入手困難な状況です。一刻も早い半導体不足の解消を願うばかりです。
Raspberry Pi 5の発売情報は今のところありませんが、4の1GBが販売されることが決定しています。コスパの高いモデルの選択肢が増えるのはありがたいですね。
本記事が購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
ラズベリーパイをどこで買ったらいいかわからない方は以下の記事をご覧ください。
≫ ラズベリーパイ通販おすすめショップ6選を見る

最後までご覧いただきありがとうございました。